JBL D123の電気特性
JBLシグネチュア・シリーズのスピーカD123を自作エンクロージャに組み込んだスピーカーシステムを制作し,
周波数範囲20Hzから20kHzまでにつき,
インピーダンスとQに関して測定してみましたので紹介します。
JBL12インチ・フルレンジ・スピーカD123は,測定時には切り離しておりますが,
超高域を受け持つJBLホーン型ツィータ2405とLCネットワーク(6dB/oct)により組み合わせ,
2ウェイ・スピーカーシステムとして仕上げてあります。
これらユニットを組み込むエンクロージャ(外寸 約H60cm*W43cm*D36cm,内寸 約H54cm*W40cm*D32cm)の内容積は密閉型と見なして約70リットルあり,
後面にひとつ設けてあるバスレフ・ポートは今のところ塞いであります。
このJBL12インチのフルレンジ・スピーカD123の3インチ径アルミ製ボイスコイルは,
インピーダンスの周波数特性を見る限り8オームのように思えてきますが,当時の規格によるとそうではないらしくて,
ユニット後側の金属シールには16オームと表記してあります。
一方,センターキャップについては,ピカピカ光らないよう黒く塗ってあります。
ここで示すグラフの横軸は周波数を表し,
縦軸のインピーダンス(抵抗とリアクタンスの値を2乗和したものの平方根)に関してはオームを(青色,目盛は左側),
Q(Quality factor)はリアクタンスの値を抵抗値で割ったものを表しています(赤色,目盛りは右側)。
従って,
Qの値が1の場合は抵抗とリアクタンスが同値なので電圧と電流の位相差は45度になり,
そしてQ値がゼロならば純抵抗に等価で位相差はゼロとなることもわかります。
またこれらの値から,スピーカ本体の消費電力を求めることができます(草色,目盛りは右側)。
この有効電力からボイスコイルで熱として消費される分を差し引くと,
空気振動や機械振動として変換・放出された電力が得られます(紫色,目盛りは右側)。
測定時のスピーカは,スタンドと組み合わせて通常の聴取位置に配置するようにしております。
インピーダンスとQ値の測定にはESI社の ビデオブリッジを用い,
スピーカ端子への印加電圧または印加電流を設定し,周波数特性のグラフひとつあたり10分程度の時間をかけています。
それでも,この程度の時間内に測定を済ませると,温度変化によるボイスコイル直流抵抗値の変化は僅かでしかありませんし,
気象条件などの環境変化による影響は出てこないものと思っております。
当然のことですが,スピーカの位置や設置方法および部屋の中にあるものの配置に応じて電気特性は変化することから,
同じ測定環境を保てるよう全ての測定を手早く行い,測定を終えてからデータ整理をするようにしています。
ところで,測定時,室温におけるD123の直流抵抗値は約6.49オームでした。
最初に示す特性図2枚は,スピーカーボックス裏蓋を外し(後面解放)吸音材を除いた状態での,
D123の定電圧特性(100mV)および定電流特性(10mA)です。
インピーダンス値(青色)の変化している様子を見ると,低域共振周波数が約40Hzであること,
そしてQ値(赤色)の変化からは,低域共振周波数から約150Hzまでの周波数帯域で容量性の電気特性を示していることもわかります。
次に示すのは,密閉箱にして測定した,
D123フルレンジユニットの定電圧特性(100mV)および定電流特性(10mA)です。
これを見ると,低域共振周波数は約80Hzへと上昇したこと,
Q値の変化からは,この低域共振周波数から約200Hzまでの周波数帯域で容量性の電気特性を示していることがわかります。
ところで,低域共振周波数に関し定電圧による特性と定電流による特性には僅かな差しか現れておりませんが,
これは主としてD123の磁束密度が比較的低いことおよびスピーカーボックスの内容積が少ないためではないかと考えております。
以上の結果から,後面解放型および密閉型スピーカーボックスともに,
駆動アンプから見た消費電力(草色)は周波数に依存して5倍以上の変動幅を有していることがわかります。
また低域共振周波数は,密閉型スピーカーボックスと比較して,
後面解放型スピーカボックスの場合だと半分近くにまで下がっていることもわかります。
さらに低域で機械振動として放出される電力(紫色)を比較すると,
後面解放型スピーカーボックスの方が密閉型スピーカーボックスよりも平坦になっていることがわかります。
このことからも,バスレフポートにより低域共振周波数を変化させ効率を上げることにより,
スピーカーシステムとしての再生帯域を調整することの意味もわかったような気がしてきます。
ところでエンクロージャ裏蓋の開け閉めをしてパワーアンプから見た消費電力の比較をした結果,
容積と開口部の面積比にほぼ対応した周波数(後面解放型で約180Hz,密閉型で約80Hz)において共鳴の現れていることがわかりました。
一方,スピーカーエンクロージャ裏蓋の開け閉めにかかわらず共通したものに,
箱型エンクロージャの高さが半波長に対応すると考えられる周波数(約360Hz)における低レベル共鳴の発生があります。
これは,D123の動作により派生する本自作スピーカーボックス内の共鳴は,
箱の体積と開口部の面積比および箱の縦方向の寸法に対応する周波数が主であることを示していることにもなります。
この原因として思いついたものに,
エンクロージャを構成する向かい合う平行面3組とスピーカを取り付けた面およびその位置関係との間にある対称性の差が有ります。
対称性の低い組(前面と後面)に関連する共鳴は比較的強く現れ,
対称性のやや低い組(上面と下面)に関連する共鳴は中程度,
そして対称性の高い組(左側面と右側面)では相互打ち消しが効いて共鳴の目立たなくなるという,
気体の比熱と自由度との関係みたいなものです。
この辺りの関係はエンクロージャと部屋との間にも有りそうなことから,
別途スピーカーシステムを制作する際には,
箱型エンクロージャへのスピーカーユニット取り付け位置なども含めて,
改めて検討してみたいと考えているところです。
それでもD123の音色に関する主観的な印象は,機械振動として消費される電力の周波数特性のかなり広い帯域において平坦であることを背景とした,
広い帯域に渡り高能率であることを反映したような,
滑らかかつ上品で明るい感じのするものでした。
これらのことは,放送モニター用フルレンジユニットでもあるウェスタン・エレクトリック社728Bの電気特性と,
家庭などでの音楽観賞用にと作られたD123の電気特性との間に類似点の多々見られることからも,
なんとはなくですが納得してしまうところです。
ここでは,このJBLフルレンジ・ユニットD123の高域特性を補うため,ホーン型ツィータ2405を組み込み,
2ウェイのスピーカーシステムを構成するようにしております。
このJBLリング・ダイアフラム・ツィータ2405の電気特性ですが,
D123とは趣向を変えて定電圧特性(10mV)のみを測定しております。
これは,
フルレンジ・スピーカ・ユニットD123とは異なり,リングダイアフラム・ホーン・ツィータ2405の場合,
箱の形式や容積を変えたとしてもその影響をさほど受けないものと考えたからでもあります。
その代わりに,ホーンの有る無しによる電気特性の差異を見ることができるようにしてみました。
こうして得られたJBL社2405の電気特性からは,
ホーンの有無による差がスピーカーボックスを後面解放にした場合と密閉にした場合の差異と,ある程度までは対応をしているような印象を受けました。
ツィータ2405は,普段はスピーカーボックス前面に開けた8cm径の穴から覗くようにして取り付けてありますが,
測定時にはエンクロージャから外し4π空間に近い状況となるよう設置しました。
LCネットワークは,自作コイルとフィルムコンデンサにより構成し,
スロープ特性を6dB/octとして,アンプの負荷として優しくなるように選んであります。
このネットワーク定数ですが,特にコイルのインダクタンス値に関しては,D123の電気特性を考慮すると厳密な設定のできそうにないことから,
聴感を頼りにそばに並ぶSS30の音と比較をしながら決めたものです(0.272mH)。
一方,ツィータ2405用のコンデンサは,低域カットオフ周波数10kHz程度を目安に選んであります(2μF)。
このことは,入力100mVでの周波数7.5kHz(10kHz)におけるD123の機械的出力が192μW(160μW)に対し2405は227μW(268μW)とやや多いものの,
両者の特性がほぼ揃っていたためであり,
従って今のところアッテネータは使っておりません。
このようなネットワークを用いて組み合わせると,アンプ側から見た電気負荷としても煩わしい問題の無くなる所為か,
コイルによりD123に加える超高域成分を多少なりとも落としてやるとスピーカにとっても優しくなるらしく,
スピーカーシステムとしての音のまとまりがより良くなったような印象を受けました(自画自賛)。
JBL社フルレンジ・スピーカD123にホーン・ツィータ2405を組み合わせたこのスピーカーシステムは,
B&W社SS30と比較し超高域が少し明る目かつ重量感のある,
一方低域は軽めながらもやや強靱な感じのする音を聴かせてくれます・・・
集成材を用いた自作の箱ではありますが,
完成品としてのスピーカーシステムと並べて音を出し比較・調整したお陰か,
十分に楽しめる気持ちの良い音をスピーカの周りに展開し響かせてくれるようです。
JBLシグネチュア・シリーズ・フルレンジ・ユニットD123の電気特性は,自作エンクロージャに組み込んで測定していることから,
スピーカーボックスの種類による差異を明らかにする例になったような気がしております。
最近では,定電流または定電圧の設定機能も有するようになってきている,
一般的なLCRメータ(例えば日置電機)を用いると,
ここに示したようなスピーカの電気特性などは今や容易に測定/確認することができるようになっております。
パワーアンプやスピーカーシステムの開発・制作・調整にどの程度の悪影響を及ぼしてきたのかを知るところではありませんが,
インピーダンスを直流抵抗値に置き換えるような取り扱いは,
過大な誤差の入ることからも,
科学とは言えないというか役立つかも知れない知識にはほど遠い,
技術の退歩すら誘発しかねない酷い代物であるということを・・・スピーカは交流で動作し,交流は複素数で取り扱うものだということを・・・
このページから感じ取っていただけると幸いです。
スピーカーシステム制作後日談
随分と久しぶりにスピーカーシステムを組み立てましたが,
その結果は思っていたよりも素晴らしいものでした。
これに気を良くし,
かねてより機会があればと考えていたスピーカシステム制作に挑戦する運びとなってしまいました。
どんなものかというと,
中高域にJBL2441を1本そして低域には同じく2220Bを2本用いた,
LCネットワーク接続による2ウェイを基本としたスピーカーシステムです。
これは,
ウーファ2220B単独では重さで見ても8キログラム弱しかないためか,
ひとつで重さが11キログラム強あるドライバ2441に音圧レベルでも負けてしまい,
LCのみによる単純なネットワーク接続のできないためでもあります。
このJBL2220Bダブルウーファを組み込む入れ物は,
外寸94cm(H)×43cm(W)×47cm(D)の縦長トールボーイ型エンクロージャにしました。
また,
D123の場合と同じくバスレフポートは背面に配置し,
正面および上下面の計3面は貼り合わせによる補強をすることにより振動対策としております。
そして,
エンクロージャ内部空間の共鳴対策に吸音材を使わなくても済むようウーファ取り付け位置の対称性を高めるようにし,
箱本体をできるだけコンパクトにするような工夫をした積もりです。
なお,以下の画像には1か所にしか写っていませんが,
暫く鳴らしている内に共鳴の影響らしき癖のある音が耳につく様になってきたことからも,
対称な位置にもう1個バスレフポートを設けるようにしております。
ところで仕上がり時の重量は,
箱だけであれば片手でも楽に持ち運べる程度になるよう抑えてみました。
このようなスピーカーシステム完成までの様子を以下に紹介させていただきます。
完成の暁には,
2メートル強の至近距離で鳴らすことを想定していることから,
かなり強力そうなコンプレッション・ドライバ2441に組み合わせるのはやや短めのホーンでもあり,
音響拡散板を別途用意する必用に駆られるやも知れません。
その際の取り付けが簡単に済むよう,
木製円形ホーンの最外周は四角のままにしてあります。
この木製ホーンは,
丸穴の径を等比級数的に大きくなるよう切り出しておいた板材を接着した後,
接着部の段差を木工やすりと金工やすりを用いて削り落とし,
紙やすりによる仕上げをしております。
最初の内はどうなることやらと案じておりましたが,
たまの日曜大工ではあっても,
回を重ねていくにつれ,
エンクロージャとウッドホーンともに何とかそれらしい形になって来るもののようです。
第一声までもう一息です。
コンプレッションドライバ2441+2220Bダブルウーファ第一声
ここまでくると,
たとえ間に合わせではあるにはしても,
ダイアフラム径10cmスロート径5cmのコンプレッション・ドライバ2441と38cm径のウーファ2220Bふたつとを組み合わせ,
先ずは聴いてみようかということになってきます。
はやる気持ちを抑えつつ,
コンデンサを直列接続してドライバ2441の低域遮断周波数を1kHz程に設定し,
ウーファ2220Bはそのまま直結してとりあえず組み合わせ,
先ずはどんな音色なのかを確かめてみることにします。
音の出せるようになったスピーカーシステムを斜め上から眺めていると,
コンプレッション・ドライバー2441の大きいことが際立ってくるようで,
なんだかわくわくしてきます。
部品交換などの整備をし好みの音に仕上げたパワーアンプ(マッキントッシュMC250E)を接続し,
聴き馴染んだLPレコード何枚かをかけてみます。
これには,
スピーカ背後に見えているレコードプレーヤTD124�Uは少し後回しにして,
モノラル盤はフェアチャイルド412−1Aに282トーンアームとカートリッジ225A,
ステレオ盤にはガラード301グリース軸受にSME3009�VとデッカMk�Wを組み合わせたものを使ってみました。
なお,どのプレーヤも2段アクティブ・フィルタ型イコライザを内蔵しており,
イコライザの利得は出力が1V前後となるように調整してあります。
そして,イコライザ出力は加算器型プリアンプに接続してあることから,
複数のプレーヤを入力切り替えをすること無しに簡単に使い分けすることができます。
このような高能率スピーカーシステムを目の前にして聴くのは初めてのことなので,
最初はとまどいながらの音出しです。
一足先に完成し聴き馴染んでいたD123プラス2405との比較では,
かなり強靱かつより高能率というだけでなく,
左右差の確認をする際にかけたモノラル盤からは,
ビリィ・ホリディの唄声をホーンのようと論評していた理由を明瞭に実感できたりもして,
解像度のかなり高いことも分かります。
そしてステレオ盤では,
例えば,まるで目の前に迫って来たかのようなデジィ・ガレスピィの迫力あるラッパの音や,
耳道を小気味よく震わせてくれるオスカー・ピーターソンのピアノ強打音には大感激・・・コンプレッション・ドライバの威力発揮・・・です。
また,可干渉性に優れたコンプレッション・ドライバをシステムに加えたお陰なのか,
スピーカを背にして聴き続けていても,会場に居合わせたかのような雰囲気の味わえる音が飛んでくるのも,ちょっとした驚きでした。
それでも間に合わせとは言え,
高域の十分に出ていないことやスピーカーユニット間の前後調整をしていない影響もあるらしくて,
音場の奥行き感はまずまずではあるものの,
左右への広がり感がやや弱い様に感じられます。
このことは20kHz近辺を十分に再生できていないことも理由のひとつとして考えられることから,
2ウェイ型として考えていた当初計画を少し修正し,折を見て,
アルニコ磁石を用いたJBL2403ツィータを追加することで3ウェイ型にしようかと思います。
専用スピーカ台に載せてみる
とりあえずLPレコード何枚かを聴いただけではありますが,
JBL2220Bダブルウーファと組み合わせたJBL2441コンプレッションドライバ+ショートホーンの威力はなかなかのもので,
僅かな入力でもかなりの音量が得られるようです。
また狙い通り,ダブルウーファに対しドライバの音圧レベルは少し高めではあっても,
小編成の曲に限れば何とか帯域バランスのとれているように聞こえてきます。
なので,このトールボーイ型エンクロージャ用にと誂えた台をさらに加えることで,
メインスピーカの座を目指せるようにしてみたいと思います。
これには,ある程度の制震効果と重量確保することも考えて,木で枠組みしたものの中に砂利を詰め込んだ専用の台に載せるのが良さそうです。

台にするべく組み立てた木枠の中には,
良く水洗いをしてから乾かしておいた小石を敷き詰めます。
この際には,適当な大きさの木の板を使って小石の表面を軽く何度も叩き均すことで,
後になってから隙間の増えることの無いようにしておきます。
なお,
スピーカ台内部にある木片2個は上下の板を間隔が変わることの無いよう連結することを,
そして残るもう2個は下駄の歯のように小石に食い込むことで制震の役割を幾らかは担うことを狙ったものです。

小石を敷き詰めた制震用の空間に蓋をしたら,
次は,
隙間の増えることのないようハタガネでしっかりと挟み固定して,
接着剤の乾くのを待ちます。
暫くそのままにして時間をおき,
接着強度の出たものと思える頃を見計らって,
台の裏表の目印も兼ねるよう,
底面側の四隅を木釘で補強しておきます。
この状態にまで仕上がると,
台のどの部位を叩いても,
響いてくるのは殆ど尾を引かない小さな音でしかなくなります。

接着剤が良く乾いてからハタガネを取り外し,枠周辺は削って揃え,
スピーカを載せたままでの移動が楽に出来るよう底面側にフエルトを貼れば,
小物のひとつ,
高さ6センチ弱ではありますがスピーカ台の完成です。
JBL2220Bダブルウーファを仕込んだエンクロージャをこの専用台の上に載せてやると,
LPレコード何枚かを聴いてみたところでは,
あっさりとしてはいるものの強靱かつ感度の良さが際だった,
これまで通りのなかなか良い感じのしっかりとした音がまるでこちらに飛んで来るかのように聞こえてきます。
ものは試しにと,
ドライバ2441とウーファ2220Bの中心軸を外して鳴らしたところ,
各再生帯域の音の出る位置が横にずれてくる所為か,
例えば,
発声域の広いと考えられる歌い手の躰が何だか滲んでいるかのような不自然な印象を受けてしまいました。
JBL2220B用ネットワーク
次のステップでは,
高域遮断フィルタ用コイルを組み込み,
ウーファ2220Bに帯域制限をかけることになります。
そのためのネットワークには,
直径が約6センチの巻き枠を用意しこれに1.6ミリ径のエナメル線を巻いて作った,
空芯コイルを使うことにします。
用意した一巻き1.2キログラムのエナメル線ほぼ全てを使って,やや少な目ではありますが,
インダクタンス値1.04mHと1.17mHのタップを取り出せるものをふたつ制作しました。
この空芯コイルは,
様子を見ながらですが,
ダブルウーファ下側には1.17mHのタップを上側の2220Bには1.04mHのタップをと,
インダクタンス値を変えて接続できるようにしてあります。
そして,
このようなネットワーク接続や変更が比較的簡単にできるよう,
端子板と圧着端子とを使った内部配線をするようにしてあります。
このネットワークと2220Bとの配線は,
ネットワーク接続するコイルのタップの位置がほんの少し上下で異なるようにしていることから,
接続先を間違えることのないようにケーブルの色分けをしておくことにします。
ネットワーク用空芯コイルは,
後面に設けたスピーカ端子台の側に穴の開いた板を用意しておき,麻紐を用いて取り付けることにします。
そしてバスレフポートは,端子板の下方に先ずはひとつを用意しておき,
ひとつで不足を感じるようであれば,端子板の上方にふたつ目を確保することにします。
またその際には,
ふたつ目のバスレフポートの共振周波数をひとつ目よりも数ヘルツ高めにすることを考えています。
エンクロージャ内蔵ネットワークの高域遮断周波数は,
ウーファの交流特性に目を瞑り直流抵抗に等しいものと仮定すれば,
下側2220Bが約1.1kHz弱そして上側2220Bは1.2kHz強になります。
なお,ドライバ2441の低域遮断周波数も1kHz強となるようにしておきます。
この状態で鳴らしてみたところ,
30センチ径フルレンジスピーカD123にLを入れた場合の変化はそれ程でもなかったのと比べると,
随分と静かになった様な気がします。
これは38センチ径ウーファ2220Bからの歪み成分が減った所為かもしれませんが,
コイル無しだとスピーカ近くにまとわりついていたかの様だった音像が,
スピーカの外側にまで良く広がるようになりました。
ツィータの追加とネットワーク修正
それでも,
ジャズのライブ録音などでのシンバルを叩いた際のアタック音は良いとして,
アタックに続く,
あたかも金粉を撒き散らしながら広がるかの様な余韻の再生については今ひとつといった気分を払い退けることができませんでした。
そこで残る大きな手入れとして,
フルレンジスピーカD123で得られたそのような成果を得るべく,
高域を受け持つことの出来るアルニコ磁石のツィータ2403を追加してみることにしてみます。
なおツィータ2403のホーン部は,
指向性に配慮して,
2404Hとの組み合わせでお馴染みのバイラヂアルホーンに取り替えてみました。
この高域補強用ツィータ追加の際には,
ウーファJBL2220Bに高域遮断フィルタを挟んだ場合に音離れが良くなった事を勘案して,
ドライバJBL2441にも10kHz程度の高域遮断フィルタを入れてみることにします。
計画当初の目標であった2ウェイ型スピーカシステムとしての完成度は,
鳴らし始めた時点で評価して十分に満足のいくものでした。
それでも暫く聴いている内に,
超高域の不足していることが気になり始めてきたことから,
後もう一息とばかりツィータを追加したため,
3ウェイ型スピーカシステムとして再構成することになった様な次第です。
さてその成果ですが,ほぼ狙い通りのもので,
可成りの満足度の得られるものになったようです。
例えば,ライブ録音(The Jazz Piano, Pittsburg Jazz Festival, June 20, 1965)だと,
2ウェイシステムの際にはやや潤いにかける響きしかしていなかったピアノやシンバルの音が,
3ウェイシステムとすることによりより潤いのある緻密かつ強弱のはっきりした鳴り響き方をするようになりました。
そして,
ウーファ用コイルのインダクタンス値調整とか,
できることならやりたくはないのですが抵抗器を用いたドライバ出力レベルの調整,
ツィータの置き場所やホーンの水平・垂直方向等をどうするのかなど,
これから詰めていかねばならないことも残っては居るものの,
なかなかご機嫌な鳴りっぷりをしてくれるようです。
この時点でのスピーカシステムとしての性能の一部,
電気音響変換効率について簡単に調べてみたところ,
仕様からすれば当然なのかも知れませんが,
私にとっては驚くような結果でした。
何が一番凄かったのかと言うと,
私にとっての大音量(100dB 程)を僅かコンマ1ワット程の電力を消費するだけで出してくれるという効率の良さでした。
アルニコ磁石を用いたビンテージ・ユニットではありますが,
当時の技術者魂に触れたような気がしてきました。
バイワイヤリング接続によるレベル合わせ
整備済みMC7300に繋いだSS30と比較し鳴りっぷりは良かったものの,
ジャズもクラッシクもと次から次へと手持ちのレコードを楽しんでいる内に,
曲によっては中域レベルのやや高いことが耳に付くようになってきました。
そこで,巻き線抵抗器により何種類かのアッテネータを制作し,
どの程度の調整をすれば私にとっての適正レベルになるのかを調べてみることにします。
その結果,
コンデンサの種類により許容範囲は異なってくるものの,
ドライバ2441への入力を3〜9dB程度減衰させると,
好みの範囲内に収まってくることが分かりました。
それではと,
各種レベル設定を簡単に試せるよう,
ホーン・ドライバとツィータのネットワーク回路を電気的に分離し,
バイワイヤリングとかトライワイヤリング接続を試せるようにしておきます。
今現在は,
整備済みパワーアンプMC250E(写真は信号増幅部)の出力端子0と8オーム間には2220Bダブルウーファとツィータ2404を,
8と16オーム端子間にはドライバ2441をと,
バイワイヤリング接続することで取り敢えず落ち着いております。
これにより,
ドライバ2441への入力レベルだけを7.6dB落とすことで中域をやや抑え気味にし,
後面バスレフポートをふたつに増やす細工もしたことから低域の伸びみたいなものも出易くなって,
気持ち良く鳴るレコードの枚数そしてジャンルも増えてきたような気がします。
勿論のことですが,
フィルタ用コンデンサの容量を同じにしても品種によって随分と音の印象が異なるのと同様,
ドライバに関し同じ減衰特性にした積もりでも,
トランスのタップ切り替えによる電気特性は抵抗アッテネータによるものとはかなり異なっていて,
より伸び伸びとした鳴り方をしてくれるようです。
この辺りのことは,
体調とか聴く場所にも依存することなので,
そのうちにマイクを立てて簡単な特性確認だけでもしておこうかと考えています。
とはいえ,試してみた結果の良かったことから,
とっかえひっかえしてレコードを聴く回数の増えてしまうような次第となってきました。
オーケストラ(例えば1968年録音の指輪 Szell/Cleveland)もそうですが,
ビッグバンドによる演奏(例えば1961年録音のベーシーとエリントンによる Battle Royal) 等々には,
良く弾む音に囲まれて高揚する気分へと誘われていくようですし,
ピアノトリオなどは(例えばベーゼンドルファーを正面に据えた作品 1958年 Oscar Peterson Plays My Fair Lady の I Could Have Danced All Night)近接マイクの捉えた強烈な打鍵音に貫かれて胸のすくような晴れやかな熱い思いを味わうことができるようです。
そして偶にではありますが,
ドラム連打(例えば1980年録音 The Super Jazz Trio / The Standard の Night In Tunisia)により立ち上がってくる音の壁みたいなものをも楽しめるところまで,
何とか辿り着けているような気もしています。
そういった調子で聴き直しも兼ねて楽しんでいる内に,
スペアナで観測しながら聴いていると確認できることでもありますが,
アナログ・レコードからは20kHzをオクターブ超えする信号の再生されることが良くあることからも,
お蔵入り状態になっていたLPをより納得のいく雰囲気で鳴らしてやろうとばかり,
超高域(100kHz程度)まで再生可能なリボンツィータを追加するようなこともしてみたりしています。
そのため,
ネットワーク構成のための方法論の裏付けでもある測定の方は,
ここ当分の間というか,
暫くの間は先延ばしということになりそうです。
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